一人の人を送るまで~二日目~通夜が終わると次は葬式です。こちらの風習では火葬を済ませてから葬式となります。 お寺から父の棺を火葬場へ運びます。 最後のお別れで父が育てていた菊と私お手製 のオレンジピール(父の大好物でした)などを 入れます。よっこらせと霊柩車に運び入れるの ですが、ここで問題が。霊柩車に乗れるのは遺族 二人までなのですよ。そうすると自動的に喪主な 兄と個人の配偶者である母となる訳で・・・。 本来ならダンナも来ていて一緒にとなるので すが、生憎半年かけて準備した主催セミナーが あるのと一年かけて試験勉強してきた試験が迫ってるの でクロさんとお留守番なのですね。伯母に一度 頼んだのですが、幸いと言いますか、お寺の人の 車がもう一人乗れますよ~な事なのでお願いして 乗せて頂きました。そうするとあらそうなの~、じゃ そちらでね~と一寸ちゃっかり気味の伯母はそちら へお任せとなるんですな、これが。やっぱりね。 火葬場へ向かう途中になぜか兄から電話。何かと 思ったら父の愛好してた煙草を買ってきてくれ~と の事。うっかり忘れていました。大慌てで途中に あったショッピングセンターへ行って買ってきました。 お店の人は喪服の女性が血相変えて煙草くれ~と 突っ込んできたのにさぞ驚いたでしょう・・・・。 最後のお別れを済ませて炉に棺が入れられ、扉が 閉められたら母が泣き崩れ、兄が慌てて支えます。 割りかし気丈でさばさばしてる母でさえこんだけ 動揺するんだからダンナの母である義母は大丈夫かな~ と一寸不安になりました。一緒に入る~とか言い出しかね ないな、そうしたらどうぞどうぞと背中をきっちり蹴り飛ばし て積極的にしてしまいそうだけどなんぞと考えたり・・・・。 その様子を見ていた叔父達が私と兄嫁に母を一人に しなさんなと秘密指令を出してきました。それからが、 トイレに行く~となればどちらかが一緒に行く~、茶碗 洗うのを一緒にしましょう~と二人で交互に貼り付きです。 BGMは当然ミッション・インポッシブル。でも、もう一人 の従兄弟まで根回ししてなかったので結構台無しにして くれてショボーンでしたが。婦長にもなってる動じない 看護士さんなのでそれぐらいで~になるんですね。 火葬が終わるまで悲しむ暇もなく、来てくれた方に お寿司とお茶とミカンをくばります。お吸い物も準備です。 田舎の場合、こういうのはみんな親族がやることになる のですよ。ここでアクシデント、お寿司が足りません。 注文は通夜の時に取ったのですが、それ以外の方も来て くれたのと、叔父が何だか注文を間違えたらしく私達の 分も回さざるを得ませんでした。幸か不幸か胸が一杯で 殆ど食べられませんでしたから丁度良かったのかも知れませんが・・・・。 火葬が終わって運ばれてきたのを見て一寸びっくり。 殆ど影も形もありません。この時が一番衝撃的だった かも知れません。何となくそれっぽい感じは残ってる んではないかな~と思ってたのですが、無いんですね~ それが。キレイさっぱりで。存在はこうやって無になる んだな~としみじみ実感しました。一緒に入れた物も まったく痕跡がありません。骨が軽くなって少し残ってる ぐらいでした。 母が骨壺、兄が位牌、私が遺影を持って帰宅です。 今度は霊柩車は帰ってしまうので親戚の車に三人便乗 して帰ります。帰りに頼んで家の前を通って貰い、 父に家だよ~と見せてみました。 お寺に着いて、父の育てた菊を並べた階段を通って 父の葬儀です。それなりに大勢の方が来て下さいました。 何とか無事に終わってお墓の掃除やら父の遺骨の安置を 暫く行う場所を作るやらで大わらわでした。それが済むと もう夕方です。何も作る気力が無いので近所の店からいきなり 唐揚げと餃子で精進落としです。久しぶりの肉です~。うま~! でした。何とか済んだ~と感無量でしたよ、はい。 |